2008年01月20日

第34回 魔術師の幻想

フィフス・シーズン

刑事コロンボ

魔術師の幻想

NOW YOU SEE HIM


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日本放送 77年12月

脚本・・・マイケル・スローン
監督・・・ハーベイ・ハート
ゲスト・・・ジャック・キャシディ


ストーリー

魔術師サンティーニ(ジャック・キャシディ)の本名はステファン・ミューラーと言って第二次大戦中はナチスの親衛隊に入っていました。戦後しばらくはヨーロッパで身分を隠しイギリス風の名前を名乗って魔術師、主にヘッドアクトと呼ばれる出し物をやって活躍して今はアメリカでジェロームが経営するクラブで「水槽の幻想」という魔術を披露して人気を集めていました。サンティーニはジェロームにナチ親衛隊時代の秘密を知られていたのでした。
その弱みに付け込んでジェロームはサンティーニの収入の50%を自分のものにしていました。ある日、ジェロームのオフィスを訪れたサンティーニは今後は収入の5%しか払いたくないとジェロームに言い渡しますが、そんなことをすればサンティーニがナチ親衛隊員だった事実を移民局に密告してやると言ってタイプで手紙を打ち始めました。その晩、クラブでいつものように「水槽の幻想」が始まるとサンティーニは箱の中に入れられさらに水槽に沈められてしまいます。そして、その水中にいる10分間を利用して殺人を実行することにしました。サンティーニは魔術が始まるとすぐに水槽の下から抜け出して地下室に降りて行き、すばやく変装して2階のジェロームのオフィスの鍵を壊して侵入し彼を殺害。タイプ途中の例に手紙を持ち去りました。舞台では「水槽の幻想」がラストのクライマックスを迎えており、水槽の中から引き上げられた箱の中からはサンティーニの娘デラが現われます。デラの横にはいつの間にか黒子に扮したサンティーニの姿もあり、魔術は大成功で終わります。ブランドフォード(ロバート・ロジア)らの通報でコロンボがクラブに到着すると、そこにはすでにウィルソン刑事が来ていました。殺人現場を見て色々と話し合うコロンボとウィルソン。
コロンボは付け替えたばかりのドアの鍵が簡単に壊されているのが気になって、犯人は手先が器用で、そうとうな腕前の持ち主だと考えるのでした。そうなると怪しいのは魔術師サンティーニ。しかし犯行が行われた時間、彼は魔術の最中で、しかも楽屋にいたという証言もあるのでした。「殺しには絶対に動機がある」と信じているコロンボはウィルソン刑事と一緒にもう一度事件現場ジェロームのオフィスに行きます。するとウィルソン刑事が最新式のタイプライターに気づいてあの夜、彼はタイプを打っているところを襲われたのではないかと思うのでした。そして犯人がタイプされた手紙を持ち去ったのではないか。その手紙こそ唯一の証拠なのだと確信したコロンボ。
そして、タイプライターのテープに手紙の内容が全て残っていたのを発見するのでした。

感想

魔術師の幻想、このエピソードは大好きです。なんといってもゲストがジャック・キャシディさん。
彼はファースト・シーズンの、構想の死角のフランクリン役、サード・シーズンの、第三の終章のグリーンリーフ役と、かつて2回もコロンボ・シリーズの犯人を演じた常連俳優さんです。でも本当に今回の魔術師の役が一番良かったんじゃないでしょうか。華麗で華のあるキャシディさん。舞台の上でも実に見事な手さばき、指さばきを披露してくれます。もちろんスタッフとして本物の魔術師マーク・ウィルソンという方がいたという話を聞きました。それにしても素晴らしいマジック。役になりきってキャシディさんも楽しそうでした。しかし残念なことにキャシディさんは、このあとしばらくしてお家の火事で亡くなってしまいます(事故死という説もあり)まだ49歳という若さ。今でもお元気だったら、きっと新・コロンボにも出演していただろうな(泣)吹き替えは田口計さん。
もう私の中では「ジャック・キャシディ=田口計」になっています。これほどのハマリ役って他にあまりないんじゃないかしら。さて久々にコロンボさんとコンビを組むウィルソン刑事はセカンド・シーズンの、悪の温室で活躍した真面目で熱血、そして最新機器に詳しいインテリ刑事。今回も最新式タイプライターのブラインドタッチで超早業を見せてくれます。彼とコロンボさんは合ってないようでいて実は、なかなか良いコンビなのかもしれません。お互いに得意分野が違って補い合えるから非常に上手くいく取り合わせだと思います。このエピソードに限りコロンボは新しいコートを着ているんですが(カミサンの誕生日プレゼント)それをどこかに置き忘れそうになると必ずウィルソン刑事が声をかけてくれる「コートをお忘れですよ!」って。でもコートが気に入らないコロンボは全然おかまいなしで無くしてもいいや、なんて思ってる(笑)そりゃそうです、このコート、コロンボさんに似合いません。パリッとしていて、いかにも肩が懲りそうなんですよね。敵が魔術師だということでコロンボさんが手品グッズを売っている店に行くシーンや「綱渡り名人」のマイケル・ラリーさんと話をするシーンなど見所も満載。この方、ほとんどのコロンボ作品に出ているそうなんですが、あまり気づく人はいないくらい地味なおじいちゃん。今回はコロンボと会話もあって画面に映っている時間が長いです。クラブの調理場を仕切るブランドフォード役が「白と黒のナイフ」のロバート・ロジアだったり、サンティーニの娘デラがシンシア・サイクスだったりとマニアの方々にも嬉しいキャスティングでした。そして、そしてラストが一番の見ものなのです。あのコロンボさんが魔術師になってしまう!? サンティーニお得意のヘッドアクトをやって見せてくれるのです!
それと、やっぱりウィルソン刑事の活躍が見逃せません。これ以降も、このコンビでやってくれたらかなり面白い「刑事コロンボ」になっていたかも、なんて想像すると楽しいです。
タグ:コロンボ
posted by まほ at 19:11| Comment(16) | 第34回 魔術師の幻想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月08日

第43回 策謀の結末

セブンス・シーズン

刑事コロンボ

策謀の結末

THE CONSPIRATORS


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日本放送 79年1月

脚本・・・ハワード・バーク
監督・・・レオ・ペン
ゲスト・・・クライブ・レビル




今回の親戚

ウエイトリフティングで優勝し、刺繍コンクールで2位の甥(?)




ストーリー

アイルランド出身の詩人ジョー・デブリン(クライブ・レビル)は北部アイルランドで暴力に巻き込まれた多くの人々を救済するために募金活動を行っていました。その活動にはオコンネル工業の会長と、その息子ジョージも協力していました。しかし彼らは皆IRAのメンバーであり募金と偽って集めた金で武器を大量に買っては密かにアイルランドに送っていたのでした。
ある日デブリンの本のサイン会にポーリーという男がやって来て「われらのみ!」と書かれているデブリンの本を差し出します。それはIRAの合言葉でポーリーなる男は武器の密売人でした。
「われらのみ!」の言葉にかぶせるようにサインしたデブリン。サイン会が終わってポーリーとホテルで会ったデブリンは武器の売買についての密談を始めますが、ポーリーが金を奪うのだけが目的であることがわかっていました。そこでデブリンはポーリーが持っていた銃で彼を殺害します。
デブリンはポーリーを裏切り者として「処刑」し、自分のお気に入りのアイリッシュ・ウイスキーの
空ボトルをポーリーの死体の側に置いておきました。
コロンボが捜査を開始しますが、まず死体の側にウイスキーのボトルが置いてあったことが一番の謎でした。ホテルのポーリーの部屋に置かれていたデブリンの本を見つけたコロンボは例の合言葉「われらのみ!」の上から書かれたデブリンのサインを不思議に思って彼の自宅まで捜査に出向きデブリンと意気投合。彼に捜査の協力を頼んで一緒に酒を飲んだりパブでダーツをして遊びます。
お互いに詩を詠んで楽しい時を過ごすのでした。そんな中、デブリンはポーリーが銃を仕入れていた人物に直接会って大量の武器を購入して、さらにアイルランド行きの貨物船も借りて準備を万端。ポーリーの正体をつかんだコロンボはデブリンが武器の密売に関係しているということを確信しても、それを、いったいいつ積み込んで出港するのか、というのがわかりません。ついに出港の日が来ても武器を積み込んだ様子はなくガッカリするコロンボ。しかし、船が港を離れると小さなタグボートが
その後をついて行きます。そのタグボートをよく見るとオコンネル工業の旗が・・・!ピンときたコロンボ。武器はタグボートに積まれていて沖に出たところで積み替える手はずになっていました。
観念するデブリン。自分は逮捕されても武器が無事に運び出されることを彼は望んでいたのでした。


感想

セブンス・シーズンの最後は、策謀の結末です。この作品には小池朝雄さんの吹き替え版はありません。
噂によるとNHKが紛失してしまったそうです(泣)ですので現在テレビ放送されたりビデオやDVDで見ることができる本作品の吹き替えは日テレで取り直しされた石田太郎さんバージョンのみなのです。
昔々、NHK放送時に小池さんバージョンを見ていますが、すごく良かったんですよね。紛失は残念!さて気を取り直して。このエピソードはシリアスでデリケートな事件を扱っています。アイルランドのIRA組織についてのストーリーというのはコロンボ・シリーズでも初めてです。そしてゲストスターはクライブ・レビルという俳優さん。彼の演じたジョー・デブリンとは愉快で人懐こい人物でありながら裏では武器を買いあさりアイルランドに送っているという冷酷さも持ち合わせているのです。そんな役を苦もなく演じているクライブ・レビルさんは舞台、映画でも活躍されていて、とにかく顔が印象的。
顔が大きいというのもありますが、いかにもイギリス、アイルランド系な造り?なのです(笑)吹き替えは旧版が納谷悟朗さんで新版が家弓家正さん。家弓さんはフィフス・シーズンの、仮面の男でレスリー・ニールセンの吹き替えもやってました。このエピソードの一番のポイントとして出てくるアイリッシュ・ウイスキーのボトルに「ここまで、ここを過ぎず」と飲む量を決めるために指輪で印をつけるんですが、そのデブリンさんのクセが逮捕につながるんですよね。
そして今回コロンボさんはデブリンさんと良き友達になります。今までにこんな展開はなかったなぁ。2人が一緒に遊び、酒を飲み、語り合うのは見ていても楽しげです。犯人に見下されていたりしていたコロンボさん。犯人を尊敬したこともあったと言うコロンボさん。犯人から好かれたこともあったりして良い関係が築けたこともありましたが、犯人と「親友」になれたのはめずらしいのです。
さて、この作品の中で私が最も印象に残っているシーンはデブリンがポーリーの知り合いの武器商人に会いに行くところなんです。ウエスタン・ハットをかぶり人当たりの良さそうな男ってのが実は危険!吹き替えが最高で、なんと大泉あきらさん。すごく合っていました。今では聞くことができませんが私の心の中にしっかりと残っています。ついに、この45作目でいよいよ最終回。だからお金をかけて空撮があったりして(笑)ドッグは出てこないけどプジョーはしっかり出ています。お疲れ様でした。そんなこんなで去年の夏から始まった「まほ どらま コロンボ・シリーズ」は今回でもってサヨナラ。
大好きなコロンボさんのことを、こんなに続けて書くことができて、ただただ嬉しい限りです。
お付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました。

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posted by まほ at 17:45| Comment(19) | 第43回 策謀の結末 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第42回 攻撃命令

セブンス・シーズン

刑事コロンボ

攻撃命令

HOW TO DIAL A MURDER


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日本放送 79年1月

脚本・・・トム・ラザラス
監督・・・ジェームズ・フローリー
ケスト・・・ニコル・ウイリアムソン



今回のカミサン

映画「市民ケーン」は最高傑作だと思っている




ストーリー

心理学者エリック・メイスン(ニコル・ウイリアムソン)は半年前に事故死した妻ローレンが自分の親友の心理学者チャーリーと浮気をしていたことを知っていました。メイスンは愛犬の2匹のドーベルマン、ローレルとハーディを訓練して攻撃命令を覚えさせチャーリーを殺害する機会をうかがっていました。ある日、大学の講義が午前中で終わったメイスンはチャーリーに自分は定期検診のためクリニックに行く用があるので2匹のドーベルマンを自宅に連れて帰ってテニスの約束をした午後3時まで待っていてほしいと言います。3時になっても検診が終わらないメイスンは自宅に電話をかけ、チャーリーが受話器を取ると、メイスンは帰宅が遅くなると言いチャーリーに市民ケーンの中の言葉「バラのつぼみ」を言わせるようにしむけます。
チャーリーが、その言葉を言ったとたん2匹のドーベルマンが突然チャーリーに襲いかかります。
「バラのつぼみ」というキーワードに反応したローレルとハーディはチャーリーを攻撃して殺害。
受話器の向こう側でチャーリーの叫び声を聞いていたメイスンは計画が成功したのを知るのでした。
コロンボが捜査に乗り出し、まず疑問に思ったのはキッチンのはずれたままになっていた電話です。あきらかにチャーリーはここで誰かと電話中に襲われたに違いないのに断末魔の叫びを聞いていた通話中の相手から警察に連絡が入っておらず、普通なら考えられないことだと思ったコロンボは手探り状態の中、まず逮捕?されてしまったメイスンの2匹のドーベルマンについて色々と調べて犬の訓練士を訪ねます。その訓練士によれば賢い犬ならば、ある言葉をきっかけに人を襲うように「攻撃命令」を仕込むことは難しいことではないらしく、そう考えればあのローレルとハーディにチャーリー殺しを命じることが出来ます。そうなると犯人は当然メイスンということになります。
しかし、いったいそれを証明できるのか?メイスンの自宅を訪ねたコロンボはポケットに小さな録音テープをしのばせてメイスンと「言葉の連想ゲーム」をやり会話の全てを録音しておきます。
処分されるために警察に隔離されていた2匹のドーベルマンに、この時のテープを聞かせたところ「バラのつぼみ」のところで激しく吠え立て飛び掛りそうな勢いです。これだと思ったコロンボはこっそり攻撃命令を変更するように訓練士に頼みます。それを知らないメイスンはドーベルマンを連れたコロンボが彼の前に現われた時「バラのつぼみ」と叫んでコロンボを襲わせようとしますが攻撃命令のキーワードを変更された犬たちは、その言葉を聴いても人を襲うことはしませんでした。観念するメイスン。実は妻を殺害したのも彼でした。彼は妻も親友も許せなかったのです。


感想

前作の、秒読みの殺人につづいて火曜サスペンス路線な作品です。浮気妻を殺した男が次は相手の男(親友)を殺すというもので、その殺害方法がすごいんです。自分の愛犬を使って襲わせるという手のこんだ仕掛け。前にもフィフス・シーズンの、闘牛士の栄光で暴れ牛に殺人をさせるというのがありましたが、あれは牛を仕込んだわけじゃなく自然発生的にそうなった事件でした。しかし今度は犬を訓練して凶器にしてしまうという犬の立場で考えたら迷惑な話ですよね。命令にしたがっただけなのに犯人にされて処分されそうになってしまいます。コロンボさんが止めてくれるので助かりますがメイスン先生は愛犬をそんなふうにしてしまうのはいけないことだと思います(怒)さて、そのメイスン先生役はニコル・ウイリアムソン。私は知らない俳優さんなんですけど映画などで活躍されていて「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」などに出演しホームズ役を演じたそうです。
そうなるとこの作品はコロンボVSホームズということになるのかも(笑)そしてメイスン先生の趣味が古いハリウッド映画のレア物を集めることで「市民ケーン」に関するお宝がぞくぞくと出てきます。そんなわけでドラマのキーワードが「バラのつぼみ」になったんでしょう。メイスン先生の吹き替えは平田昭彦さん〜!あのゴジラ映画などでお馴染みの俳優さんです。この方の吹き替えは本作品だけかも。知性的な感じがとっても良かったです。コロンボさんと言葉のゲームをするところは見所だと思います。メイスン先生と一緒に住んでいる謎の女子大生ジョアンはシグモントというクマのぬいぐるみを抱えてまだまだ子供っぽいお嬢さん。なんか怪しい関係を想像してしまいますよね、イヤだなぁ〜(笑)
それにしても、このセブンス・シーズンはコロンボさんが犯人と対等であるというのがわかる作品が多いのです。今までは地位も名誉もお金もある犯人がコロンボさんを見下すパターンが普通でしたが年を取ったせいもあってコロンボさんも刑事として年季が入り貫禄も出て犯人もビビッてしまうのかしつこく捜査をしていても昔よりは、かなり待遇が良くなってきたように思います。そうなると犯人も本気になってきて今回のメイスン先生のようにコロンボさんを殺そうとしたりするんですよね!前々回の、美食の報酬でもコロンボさんはワインで殺されそうになったんですよ、いやぁ危ない。メイスン邸に飾られた多くの映画の小道具は、それを見るだけでも懐かしいと思う人がたくさんいてコロンボさん(ピーター・フォークさん?)が好きだったW・C・フィールズのことを聞けたりするし、とにかく殺人事件さえなければ、とても楽しいエピソードになっていたと思うんですけど、それは無理。

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タグ:コロンボ
posted by まほ at 17:39| Comment(1) | 第42回 攻撃命令 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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